鈴木信夫詩の世界コンサート報告
去る2015年11月28日及川音楽事務所主催のオータムコンサートが渋谷松濤サロンで開催されました。
プログラム前半は及川事務所所属の新進気鋭のピアニスト、歌手による聞き応えのある演奏、30名ほどで一杯になる小さなサロンに、古典から日本歌曲までの音楽が隅々まで鳴り響いていました。
プログラム後半は「鈴木信夫の詩の世界」と題して筋ジストロフィーで亡くなられた作詞家の鈴木信夫氏 の詩に5人の作曲家が曲をつけ、ソプラノ歌手西田玲子氏のうたで初演をするという主旨のものでした。
鈴木信夫さんのプロフィールを簡単に紹介させていただきます。
1971年生まれ。人工呼吸器をつけ、車いすでの生活を続けながら、わずかに動く指先を使ってパソコン入力で詩を紡いできた。学校などでの講演、詩集の出版、コンサート開催、等幅広く活躍してきた。その活動は、NHK テレビなどで紹介される。2011年5月、40歳の若さで死去。創った詩は2.000編を超え、著書は詩集、詩文集など5冊にのぼる。
2001年「マイナスからのスタート」(文芸社)、2004年「君にいい風吹きますように」(神奈川新聞社)、2007年「生命いっぱい」(神奈川新聞社)、2012年「こころのごちそう」(神奈川新聞社)、2010年絵手紙詩手紙「風のように花のように」(浅田美知子・共著)(日貿出版社)
http://home.catv.ne.jp/dd/nobuo/
ブログ 「鈴木信夫の詩の世界」
作曲家によって全く詩のとらえ方が違い、それぞれの曲が全く違うジャンルの音楽に出来上がり、いろんな角度がから詩が楽しめたコンサートでした。
最初曲をつけるお話を及川事務所からいただき、50ぐらいの詩を「好きなの選んでいいよ〜」と送られてきました。ひぇ〜!と思いましたが、1つ1つ読んでいくとどれも奥が深く、どれも読み込んでしまい本当に選ぶのに苦労しました。今回曲をつけさせていただいた「こころに寄り添っていたい」は大切な人を想う気持ちに共感でき、“春”らしさを出せるように曲をつけさせていただきました。歌の西田さんには曲の雰囲気を丁寧に作り上げていただき、とても感謝しています。
打ち上げの時、「ベッドで寝てたのにどうしてこんな詩がかけたのですか?」という質問に鈴木氏のご両親は「普通に学校に行ったし、講演もこなしていた。それが全て彼の肥やしになっている」と答えていました。ご両親に感服です。
プログラム
1.大城まき「こころに寄り添っていたい」
2.佐々木陸「花がなみだを落とすとき」
3.小栄住明子「鉛筆と消しゴム」
4.小栄住明子「曼珠沙華」
5.北野善知「太陽が美女を抱いたから」
6.関本幸子「明日が素晴らしくなるように」
音楽は形のない芸術だからこそ、より深く人の心に入り込むことができる・・そんなことを改めて感じさせるコンサートでした。今回の曲はCDにもできたら・・というお話もあるので、その時は乞うご期待。